生成AIの活用事例|業務別の使い方と公式発表に見る業務効率化の実例
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生成AIの活用事例を探していても、自社のどの業務に当てはめればよいかが分からず、検討が止まってしまうことは少なくありません。活用を具体的に考えるには、会社名ではなく業務単位で「どの作業に、どう使えるか」を見ていくのが近道です。
ここでは文章作成、議事録、問い合わせ対応、社内検索、マーケティング、プログラミングの業務別に生成AIの活用パターンを整理します。あわせて、企業や自治体が公式に発表している活用事例と、そこから分かる業務効率化の進め方をまとめました。

Atkid 代表
中澤 寛
Atkid株式会社の代表として、ホームページ制作・SEO対策・Web広告運用などのWebマーケティングを統括。2014年の創業以来、自社事業でも集客から成約まで仮説検証を重ね、現場で再現できる施策をクライアントへ提供しています。
ライター詳細目次
生成AIの活用は業務単位で考えると進めやすい
生成AIの活用は、「どの業務の、どの作業を任せるか」という単位で考えると、効果の見込みとリスクを判断しやすくなります。部署全体や会社全体で何ができるかを考えるより、具体的な作業に分解した方が試しやすくなります。
生成AIが得意なのは、文章の下書き、要約、言い換え、分類、アイデア出し、プログラムのコード作成などです。一方で、出力にはもっともらしい誤りが含まれることがあるため、事実の確認や最終判断は人が担う前提で業務を設計します。
- 作業の量が多く、繰り返し発生する
- 出力の正しさを人が短時間で確認できる
- 入力する情報に、外部に出せない情報が含まれない、または安全な環境で扱える
業務別に見る生成AIの活用パターン
業務効率化の効果が出やすいのは、文章作成、議事録・要約、問い合わせ対応、社内検索、マーケティング、プログラミングの6つの業務です。いずれも文章やコードを扱う作業が多く、生成AIの得意分野と重なります。
| 業務 | 主な使い方 | 人が確認すべき点 |
|---|---|---|
| 文章作成 | メール、報告書、提案書の下書き、文章の校正 | 事実関係、敬語や表現、社外秘情報の混入 |
| 議事録・要約 | 会議の文字起こしからの議事録作成、資料の要約 | 決定事項と担当者の正確さ、発言の取り違え |
| 問い合わせ対応 | 回答文の下書き、よくある質問の整理、担当部署の案内 | 回答内容の正確さ、顧客情報の扱い |
| 社内検索 | 規程やマニュアルなど社内文書をもとにした回答 | 参照した文書が最新か、根拠の表示 |
| マーケティング | 広告文やSNS投稿の案出し、企画の壁打ち | 表現の適法性、既存の著作物との類似 |
| プログラミング | コードの提案、エラーの原因調査、テストの作成 | 動作確認、セキュリティ、ライセンス |
文章作成
文章作成は、もっとも始めやすい活用パターンです。メールの返信案や報告書の構成案、提案書のたたき台を生成AIに作らせ、担当者が内容を確認して仕上げる使い方が中心になります。
- 伝えたい要点を箇条書きで入力し、メールの文面に整えさせる
- 報告書の下書きを入力し、誤字脱字や分かりにくい表現を指摘させる
- 読み手(社内・取引先・顧客)に合わせて、文章の言い回しを調整させる
議事録・要約
会議の録音から文字起こしを作り、生成AIで決定事項や担当者を整理すると、議事録の作成時間を短くできます。長い資料や報告書を要約して、読むべき箇所を絞り込む使い方もあります。
- 決定事項、担当者、期限を表形式で整理させる
- 参加できなかった人向けに、会議の要点を短くまとめさせる
- 長い資料から、自分の業務に関係する箇所を抜き出させる
問い合わせ対応
過去の問い合わせと回答をもとに、回答文の下書きを作ったり、よくある質問を整理したりする使い方です。顧客に直接回答させる場合は誤回答のリスクが大きくなるため、まずは担当者の下書き支援から始めるのが一般的です。
- 問い合わせ内容を種類ごとに分類し、担当部署を判断する材料にする
- 過去の回答をもとに、よくある質問と回答の案を作る
- 回答文の下書きを作り、担当者が確認してから送る
社内検索
社内規程やマニュアル、過去の資料を生成AIが参照できるようにして、社員の質問に回答させる使い方です。社内文書を検索して回答を作る仕組みはRAG(検索拡張生成)と呼ばれ、参照した文書を示すことで回答の根拠を確認しやすくなります。
社内検索の精度は、参照させる文書の質に左右されます。古い規程や重複した資料が混ざっていると誤った回答の原因になるため、仕組みをつくる前に、参照させる文書を整理しておくことが前提です。
マーケティング
広告文やSNS投稿、メールマガジンの案を複数出させ、担当者が選んで調整する使い方です。生成した文章や画像を社外に出す前には、表現が法令に反していないか、既存の著作物と似ていないかを確認します。
- 商品の特長を入力し、訴求の切り口が異なる広告文を複数出させる
- 顧客アンケートの自由記述を分類し、よく挙がる要望を整理させる
- 記事やメールマガジンの構成案を作らせ、担当者が内容を肉付けする
プログラミング
エンジニアがコードの提案やエラーの原因調査、テストコードの作成に生成AIを使う活用です。生成されたコードはそのまま使わず、レビューと動作確認を経てから取り込むルールが欠かせません。
- 仕様を文章で伝え、コードのたたき台を作らせる
- エラーメッセージを入力し、原因の候補と確認手順を挙げさせる
- 既存のコードに対するテストコードの案を作らせる
部門別に見る生成AIの活用イメージ
部門ごとに見ると、営業は提案準備、人事は募集・教育の文書、経理・総務は社内問い合わせと規程の確認、企画・広報は発信の案出しに生成AIを使いやすくなります。自社の部門に置き換えて、時間がかかっている作業から候補を挙げてみてください。
営業
営業部門では、商談前の情報整理、提案書の構成案、商談後のお礼メールや報告の下書きに使えます。顧客名や取引条件などの情報を入力する場合は、社内で利用を認めた環境に限るなど、扱いを先に決めておきます。
- 提案書の構成案と、説明の流れのたたき台
- 商談メモからの報告書の下書き
- 想定される質問と回答の洗い出し
人事・教育
人事部門では、求人票や社内向けのお知らせの下書き、研修資料の構成案、マニュアルの要約などに使えます。応募者や社員の個人情報を入力するかどうかは、利用目的の範囲内かを確認したうえで、社内ルールで明確にしておきます。
経理・総務
経理・総務部門では、社内からの問い合わせへの回答案や、規程・手続きの説明文の作成に向いています。規程やマニュアルを参照して回答する社内検索の仕組みと組み合わせると、同じ質問への対応時間を減らせます。
- 経費精算や各種申請の手順の説明文
- 社内規程の要点をまとめた案内文
- よくある問い合わせと回答の一覧
企画・広報
企画・広報部門では、企画の切り口出し、プレスリリースやSNS投稿の下書き、アンケートの自由記述の分類などに使えます。社外に出る文章は、事実関係と表現を担当者が確認し、既存の著作物と似ていないかも確かめてから公開します。
公式発表から見る企業・自治体の活用事例
公式に効果が発表されている事例では、社内での利用を広げながら、削減時間や利用回数などの数値で効果を測っている点が共通しています。ここで紹介する数値は各組織の公式発表に基づくもので、測定方法や対象は組織ごとに異なります。
パナソニック コネクトの全社的な活用
パナソニック コネクトの2026年7月29日のプレスリリースによると、同社は2023年2月から生成AIの業務利用を始め、国内全社員約11,800人に社内向けAIアシスタント「ConnectAI」の活用を進めてきました。2025年度の利用実績は次のとおりです。
- 削減時間は78.8万時間で、年間総労働時間の3.4%に相当
- 利用回数は361万回で、前年度の1.6倍
- 1回あたりの削減時間は33分
- 月間ユニークユーザー率は61%
同リリースでは、ファイルを使った議事録作成やコード生成、ログ分析、提案書作成支援、設計書・仕様書作成などの利用が広がったことを要因として挙げています。2024年からはRAGを使って文書や図面、仕様書と生成AIの連携を進めており、2030年に総労働時間の10%をAIで削減することを目指すとしています。
LINEヤフーのプログラミングでの活用
LINEヤフーは2023年10月13日のプレスリリースで、開発業務に関わるエンジニア約7,000名を対象に、AIがコードの記述を提案する「GitHub Copilot for Business」を導入すると発表しました。導入前の2023年6月から8月に、約550名を対象としたテスト導入を行っています。
- エンジニア1人あたりの1日のコーディング時間が約1〜2時間削減
- 一部の指標で、利用前後の比較で約10〜30%の向上
- 全利用対象者にeラーニングの受講を必須とし、著作権侵害を防ぐ講習を実施
- 生成されたコードには複数レビューを徹底するルールを設定
横須賀市の全庁的な活用実証
横須賀市は2023年4月18日の報道発表で、ChatGPTの全庁的な活用実証を始めると発表しました。職員が普段使っている自治体向けビジネスチャットにChatGPTのAPIを連携させ、文章作成、要約、誤字脱字のチェック、アイデア創出などに使えるようにする取り組みです。
同発表では、入力した情報が二次利用されない方式で使い、機密情報や個人情報は扱わない運用とすることも示されています。普段使っているツールに組み込んで利用の手間を減らすことと、扱う情報の範囲を先に決めることは、民間企業にも応用できる進め方です。
自治体の活用事例をまとめた国の資料
総務省の令和8年版情報通信白書では、総務省の自治体におけるAI活用・導入ガイドブックをもとに、先行自治体で職員業務の効率化や質の向上に加えて、住民への担当部署の案内や観光スポットの提案など、住民の利便性向上にもAIが使われていると紹介しています。複数の自治体の事例をまとめて確認したい場合は、こうした国の資料が出発点になります。
事例から分かるAIによる業務効率化のポイント
紹介した公式発表からは、利用ルールの設定、利用者教育、普段使うツールへの組み込み、効果測定、社内文書との連携といった取り組みが参考になります。実施内容は組織ごとに異なるため、確認できた組織と対応づけて整理します。
- 利用ルールの設定は、LINEヤフーの生成コードの複数レビューや、横須賀市の機密情報・個人情報を扱わない運用で示されている
- 利用者教育は、LINEヤフーが全利用対象者にeラーニングと著作権侵害を防ぐ講習を課している
- 普段使うツールへの組み込みは、横須賀市が職員の使う自治体向けビジネスチャットにChatGPTを連携させている
- 効果測定は、パナソニック コネクトが削減時間や利用回数を、LINEヤフーがコーディング時間の削減を公表している
- 社内文書との連携は、パナソニック コネクトが2024年からRAGで文書や図面、仕様書との連携を進めている
利用ルールの整え方は、生成AIガイドラインの記事で国の指針と社内ルールの作り方を整理しています。社員教育の進め方はAI研修の選び方の記事も参考になります。
自社で生成AIの活用を始める手順
自社で始めるときは、対象業務の選定、利用ルールの整備、少人数での試行、効果の測定、対象の拡大という順で進めると失敗しにくくなります。最初から全社展開を目指すより、成果が見える範囲で試してから広げる方が確実です。
- 時間がかかっている業務を書き出し、生成AIで試す作業を選ぶ
- 使うツールと入力してよい情報、出力の確認方法を決める
- 少人数で一定期間試し、使い方と注意点を記録する
- 作業時間の変化や利用回数を、導入前と比べて確認する
- 効果があった使い方をテンプレートにして、他の部署に広げる
効果を測る準備を先にしておく
効果を数字で確かめるには、導入前の作業時間を記録しておくことが前提です。導入後に「便利になった」という感想だけが残ると、対象を広げるか、予算をかけるかの判断がしにくくなります。
うまくいった使い方を資産として残す
効果が出た指示文や作業手順は、個人のメモにとどめず、社内で共有できる形で残します。テンプレートとして整理しておけば、新しく使い始める社員も同じ品質で作業できます。
社外向けの業務は段階的に広げる
顧客への回答や公開する文章など、社外に出る業務は、社内向けの業務で使い方と確認手順が固まってから広げます。社外向けの業務では、誤りが信用に直結するため、確認者と承認の手順をあらかじめ決めておきます。
活用事例を参考にするときの注意点
他社の事例を参考にするときは、効果の数値をそのまま自社に当てはめず、情報漏えい、誤った出力、権利侵害のリスク対策をあわせて確認することが重要です。事例の数値は、その組織の業務内容や利用環境、測定方法を前提にしたものです。
- 入力した情報の扱いは、ツールの利用規約や設定によって異なる
- 出力には誤りが含まれることがあるため、事実確認の手順を決めておく
- 社外に出す生成物は、既存の著作物と類似していないかを確認する
- 個人情報を入力する場合は、利用目的の範囲内かを確認する
AtkidのAI導入支援では、部門別の活用シーンの洗い出しから、自社業務を題材にした検証、プロンプトの資産化、運用ルールの整備と社内定着までを伴走しています。社員の基礎理解が必要な場合はAI研修・導入支援と組み合わせられるため、どの業務から始めるべきかの段階からお問い合わせください。
よくある質問
- 生成AIの活用はどの業務から始めるのがよいですか
- 文章の下書きや要約、議事録の作成など、社内向けで出力を人が確認しやすい業務から始めるのが進めやすい方法です。社外に出る文書や個人情報を扱う業務は、利用ルールを整えてから広げます。
- 生成AIによる業務効率化の効果はどう測ればよいですか
- 導入前に対象業務の作業時間を記録しておき、導入後の時間と比べる方法が基本です。利用回数や利用者の割合、出力の修正にかかった手間もあわせて記録すると、効果が出ている業務とそうでない業務を見分けやすくなります。
- 中小企業でも大企業と同じような効果が出ますか
- 公表されている事例の効果は、その組織の業務内容や利用環境、測定方法に基づくもので、そのまま他社に当てはまるわけではありません。自社の業務で小さく試し、自社の数字で効果を確かめることが確実です。
- 無料の生成AIツールを業務で使っても問題ありませんか
- 利用規約や設定によっては、入力した内容がサービスの改善に使われる場合があります。業務で使う前に、提供事業者の規約とデータの取り扱いを確認し、社内で利用を認めるツールと入力してよい情報を決めておきます。
- 社内に詳しい人がいなくても活用を進められますか
- 進められます。外部の研修で基礎を学び、社内で推進役を決めて事例を共有する仕組みをつくれば、専門の担当者がいなくても活用を広げられます。研修と導入支援を一体で依頼する方法もあります。
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