DX研修とは?対象者別の内容と選び方、助成金の活用ポイント【2026年版】

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「DXを進めたいが、社員に何を学ばせればよいか分からない」「DX研修を探すと種類が多すぎて比較できない」と悩む企業は多くあります。DX研修は対象者によって学ぶべき内容がまったく違うため、まず誰に何を身につけてもらうかを決めることが選定の出発点になります。

ここでは、DX研修とは何かを整理したうえで、経営層・DX推進担当・全社員・エンジニアの対象者別の内容、研修形式の違い、自社に合う研修を見極める比較軸、人材開発支援助成金の活用可否までを、2026年10月時点の公式情報をもとにまとめます。

中澤 寛

Atkid 代表

中澤 寛

Atkid株式会社の代表として、ホームページ制作・SEO対策・Web広告運用などのWebマーケティングを統括。2014年の創業以来、自社事業でも集客から成約まで仮説検証を重ね、現場で再現できる施策をクライアントへ提供しています。

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目次

DX研修とは?IT研修との違い

DX研修とは、デジタル技術とデータを使って業務やビジネスモデルを変革するために必要な知識・スキル・考え方を、社員が立場に応じて身につけるための企業研修です。ツールの操作方法を覚えることが目的のIT研修と違い、自社の課題をどう見つけ、デジタルでどう解決し、組織をどう変えていくかまでを扱います。

IT研修とDX研修の違いを整理すると、次のようになります。

比較項目IT研修DX研修
主な目的特定のツール・技術を使えるようにするデジタルとデータで業務やビジネスを変える
主な対象ツールを使う担当者、情報システム部門経営層から全社員まで、役割ごとに設計
学ぶ内容操作方法、技術知識、資格対策変革の背景、データ・技術の基礎、課題設定、推進の進め方
成果の見方ツールを使えるようになったか業務やサービスに変化が起きたか

もちろん、DXを進めるうえでツールや技術の知識は欠かせません。DX研修はその知識を「何のために使うか」と結びつけて学ぶ点に特徴があり、研修のゴールも受講そのものではなく現場の変化に置かれます。

DX研修で学ぶ内容はデジタルスキル標準で整理できる

DX研修で学ぶ内容は、経済産業省とIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が公表している「デジタルスキル標準(DSS)」を基準にすると整理しやすくなります。デジタルスキル標準は、全てのビジネスパーソン向けの「DXリテラシー標準(DSS-L)」と、DXを推進する人材向けの「DX推進スキル標準(DSS-P)」の2つで構成されています。

全社員向けのDXリテラシー標準

DXリテラシー標準は、全てのビジネスパーソンが身につけるべき能力・スキルの標準です。DXを自分事として捉え、変革に向けて行動できるようになることを目指しており、次の4つの項目で構成されています。

  • Why(DXが求められる背景)
  • What(DXで活用されるデータと技術)
  • How(データと技術の利活用)
  • マインド・スタンス(新たな価値を生み出すための土台となる心構え)

全社員向けのDX研修を比較するときは、この4項目のうちどこを厚く扱っているかを見ると、研修ごとの違いがつかみやすくなります。

DX推進人材向けのDX推進スキル標準

DX推進スキル標準は、DXを推進する人材の役割と習得すべきスキルを定義したものです。2026年4月16日に公開されたver.2.0では、データマネジメント類型が新設され、人材類型は次の6つになりました。

人材類型主な役割
ビジネスアーキテクト変革の目的を定め、ビジネスや業務の仕組みを設計し、関係者をまとめて成果につなげる
デザイナー顧客やビジネスの視点から製品・サービスの方向性や見せ方、伝え方を設計する
データサイエンティストデータを分析し、AIを含む仕組みを設計・実装・運用してデータ活用を進める
データマネジメントデータを安全かつ信頼できる状態で整備・運用し、組織のデータ活用を支える
ソフトウェアエンジニアデジタル製品・サービスを支えるシステムやソフトウェアを設計・実装・運用する
サイバーセキュリティ業務を支えるデジタル環境のセキュリティリスクの影響を抑える対策を行う

ver.2.0では、AIの実装・運用やAIガバナンスに関するスキルがデータサイエンティスト類型に追加されています。詳しくはIPAのデジタルスキル標準のページとver.2.0公開のプレス発表で確認できます。

対象者別に見るDX研修の内容

DX研修は、経営層・DX推進担当・全社員・エンジニアやデータ担当の4つの対象者ごとに、目的と学ぶ内容を分けて設計するのが基本です。同じ「DX研修」でも、経営層には変革の方向性を決める力、全社員には自分の業務でデジタルを使いこなす力というように、求める成果が異なります。

対象者研修の目的主な学習テーマ
経営層・管理職DXの方向性と投資判断を決めるDXの背景、自社の変革テーマの設定、推進体制づくり、リスクとガバナンス
DX推進担当社内の変革プロジェクトを動かす業務の課題整理、企画立案、関係者の巻き込み、効果測定の設計
全社員自分の業務でデジタルを活用できるデータと技術の基礎、生成AIなどの活用方法、情報セキュリティ
エンジニア・データ担当仕組みを作り、データを活用できるシステム開発、データ分析、データ整備、セキュリティ対策

経営層・管理職向けのDX研修

経営層向けのDX研修では、DXが求められる背景を理解し、自社としてどの領域を変えるのかを決めるための考え方を学びます。現場がいくら学んでも、経営層が方針と優先順位を示さなければ取り組みは部署ごとにばらばらになりがちです。

研修では、他社事例の紹介にとどまらず、自社の事業や業務に置き換えて変革テーマを考えるワークがあるかを確認すると、受講後の意思決定に直結しやすくなります。

DX推進担当者向けのDX研修

DX推進担当者向けのDX研修は、社内でプロジェクトを企画し、現場を巻き込みながら進める役割を担う人が対象です。デジタルスキル標準でいえば、ビジネスアーキテクトに近い役割にあたります。

  • 業務の流れを見える化し、課題と改善の優先順位を決める
  • 小さく試して効果を確かめる進め方を設計する
  • 現場・情報システム部門・経営層の間で合意をつくる
  • 取り組みの成果を数字や業務の変化で説明する

推進担当が1人または少人数の場合は、研修後に相談できる場があるかどうかも選定のポイントです。

全社員向けのDX研修

全社員向けのDX研修は、DXリテラシー標準の範囲を土台に、データや技術の基本と、自分の業務での活用方法を身につけてもらうことが目的です。生成AIの使い方や、情報漏洩・誤情報といったリスクへの対応も、学習テーマとして検討できますが、こうした共通知識を学ぶ研修は、後述する人材開発支援助成金の事業展開等リスキリング支援コースの対象にならない場合があります。

全社員向けは受講人数が多くなるため、eラーニングで知識をそろえ、部門ごとの演習で自分の業務に置き換える構成にすると、費用と効果のバランスを取りやすくなります。生成AIの活用に絞った研修の選び方はAI研修の選び方と比較ポイントでも紹介しています。

エンジニア・データ担当向けのDX研修

エンジニアやデータ担当向けのDX研修は、システム開発やデータ分析、データ整備、セキュリティ対策といった専門スキルを伸ばすことが目的です。DX推進スキル標準のソフトウェアエンジニア、データサイエンティスト、データマネジメント、サイバーセキュリティの各類型が参考になります。

専門研修は、受講者の現在のスキルレベルとのずれが成果を左右します。研修会社に相談する前に、担当者がいま何をできて何ができないのかを簡単に棚卸ししておくと、内容のミスマッチを防げます。

DX研修の主な形式と向いているケース

DX研修の形式は、集合研修、オンラインのライブ研修、eラーニング、公開講座、実際の課題に取り組むプロジェクト型の5つに大きく分けられ、目的と受講人数に応じて組み合わせるのが現実的です。1つの形式だけで全員の目的を満たすのは難しいため、対象者ごとに形式を選びます。

形式特徴向いているケース
集合研修(一社向け)講師と受講者が同じ場で演習や議論を行う。自社向けに内容を調整しやすい部門単位で自社の課題を題材にしたい場合
オンラインのライブ研修リアルタイムで講義と演習を行う。移動が不要拠点が分散している場合
eラーニング受講者が自分のペースで動画や教材を学ぶ全社員に基礎知識を広くそろえたい場合
公開講座他社の受講者と一緒に受ける。1人から申し込める少人数で試したい場合、推進担当の視野を広げたい場合
プロジェクト型実際の業務課題やデータを題材に、一定期間かけて取り組む研修を具体的な業務改善の成果につなげたい場合

形式を選ぶときは、後述する助成金の要件も関係します。たとえば人材開発支援助成金の事業展開等リスキリング支援コースでは、eラーニングや通信制による訓練は賃金助成の対象外とされているため、助成金の活用を考えている場合は形式と制度の両方をあわせて検討しましょう。

おすすめのDX研修を見極める6つの比較軸

自社に合うおすすめのDX研修を見極めるには、目的との一致、対象者別の設計、自社課題を使った演習、研修形式、研修後の定着支援、費用と助成金の6つの軸で比較するのが確実です。知名度や受講者数だけで選ぶと、自社の状況に合わず研修が単発で終わる原因になります。

研修の目的と自社の課題が一致しているか

DX研修を選ぶときは、自社が何を変えたいのかと研修のゴールが一致しているかを最初に確認します。全社のリテラシーをそろえたいのか、推進役を育てたいのか、特定の業務をデジタル化したいのかで、選ぶべき研修は変わります。

対象者に合わせてカリキュラムを分けられるか

対象者ごとにカリキュラムを分けられる研修を選ぶと、受講者全員の学びを実務につなげやすくなります。経営層・推進担当・全社員・エンジニアでは必要な内容が異なり、全員に同じ内容を受けさせると、ある層には簡単すぎ、別の層には難しすぎるというずれが起きやすくなります。

自社の業務課題を題材にした演習があるか

座学だけのDX研修は、受講直後の理解度は高くても現場での行動につながりにくい傾向があります。自社の業務や課題を題材にした演習があるか、研修内容を自社向けにどこまで調整できるかを確認しましょう。

受講環境に合った研修形式を選べるか

拠点の数、勤務形態、業務の繁閑によって、集合研修とオンラインのどちらが受講しやすいかは変わります。複数の形式に対応している研修会社であれば、対象者ごとに使い分けられます。

研修後の定着支援があるか

DXは研修を受けただけでは進まず、学んだことを業務で試し、改善を続けて初めて成果になります。研修後の質問対応、事例共有の場、社内ルールの整備などの支援があるかどうかで、定着のしやすさが大きく変わります。

費用の内訳と助成金の対応を確認できるか

DX研修の費用は、受講人数、カスタマイズの有無、形式、研修時間によって変わります。見積もりを比較する際は総額だけでなく1人あたりの費用と研修時間も確認し、助成金を使う予定がある場合は、制度の要件に合う形で研修を設計できるかもあわせて相談しましょう。

AtkidのAI研修・導入支援では、生成AIの基礎理解から自社業務を題材にした演習、活用事例の共有や運用ルール整備までを一連の流れで支援しており、オンライン・集合・ハイブリッドに対応し、研修費用は1人あたり20万円〜(税抜・研修時間14時間、目安)です。生成AIの活用を軸にDX研修を検討している場合は、選択肢の一つとして比較してみてください。

DX研修で人材開発支援助成金は使える?

DX研修は、厚生労働省の人材開発支援助成金の事業展開等リスキリング支援コースの対象になる場合があり、令和8年8月3日版の支給要領では中小企業の経費助成率が75%、賃金助成額が1人1時間あたり1,000円(大企業は60%、500円)とされています。同コースは、企業内のデジタル・DX化を進めるにあたり、関連する業務に必要な専門的な知識・技能を習得させる訓練を対象の一つとしています。

主な要件と注意点

支給要領で確認できる主な要件は次のとおりです。申請を検討する場合は、研修会社と内容を決める前に要件を把握しておきましょう。

  • 職業訓練実施計画届を、訓練開始日の6か月前から1か月前までに提出する
  • 原則として2026年8月3日以降に提出する計画届では、職務に間接的に必要な知識や職種を問わず共通する知識を学ぶ訓練は対象外になる(8月2日以前に契約・申込みをした事業外訓練など、経過措置に当たる場合は従前の規定が適用され、詳細は支給要領で確認する)
  • 通学制や同時双方向型の通信訓練は、1コースあたりの実訓練時間数が10時間以上である
  • eラーニングや通信制は、標準学習時間が10時間以上または標準学習期間が1か月以上である
  • eラーニングや通信制による訓練は経費助成のみで、賃金助成は支給されない
  • 経費助成には限度額があり、通学制などで実訓練時間数10時間以上100時間未満の場合、中小企業は1人あたり30万円
  • 1事業所あたり1年度の支給額の合計は1億円が上限

このほか、職業能力開発推進者の選任や事業内職業能力開発計画の策定など、事業主側の要件もあります。制度は年度途中でも改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省の人材開発支援助成金のページと、事業所を管轄する都道府県労働局で確認してください。

DX研修を成果につなげる導入ステップ

DX研修を成果につなげるには、目的の整理、対象者とレベルの決定、研修内容と形式の選定、研修の実施、現場での実践と振り返りという5つのステップで進めるのが効果的です。研修を単発のイベントにせず、業務の変化までを1つの計画として設計します。

  1. 目的を整理する(DXで変えたい業務やサービス、経営課題を明確にする)
  2. 対象者とレベルを決める(経営層・推進担当・全社員・エンジニアのどこから始めるか)
  3. 研修内容と形式を選ぶ(研修会社に相談し、助成金を使う場合は要件も確認する)
  4. 研修を実施する(自社の業務を題材にした演習を組み込む)
  5. 現場で実践し、振り返る(小さな改善を試し、成果と課題を社内で共有する)

研修とあわせて、社員一人ひとりのスキルをどう育てていくかを中長期で考えることも欠かせません。人材像の定義から育成計画、評価までの進め方はDX人材育成の進め方とプログラムの組み方で詳しく紹介しています。

よくある質問

DX研修とIT研修は何が違いますか
IT研修は特定のツールや技術の操作・知識を身につけることが中心です。DX研修はデジタル技術とデータを使って業務やビジネスをどう変えるかまで扱う点が異なり、技術の知識に加えて課題設定や変革の進め方も学びます。
DX研修は誰から受けさせるべきですか
経営層とDX推進の中心になる担当者から始めると、全社の方針と研修の目的がそろいやすくなります。そのうえで全社員向けのリテラシー研修を行い、必要に応じてエンジニアやデータ担当の専門研修へ広げる順序が進めやすい形です。
DX研修に人材開発支援助成金は使えますか
企業内のDX化に関連する業務に必要な専門的な知識・技能を習得させる訓練は、事業展開等リスキリング支援コースの対象になり得ます。ただし原則として2026年8月3日以降に提出する計画届では、DXの概念やデジタル技術の概要など職種を問わず共通する知識を学ぶ研修は対象外のため、全社員向けのリテラシー研修は対象にならない場合があります(8月2日以前に契約・申込みをした事業外訓練などには経過措置があります)。訓練時間や実施方法、計画届の提出期限などの要件があるため、受講前に厚生労働省の最新の支給要領や労働局で確認してください。
eラーニングだけのDX研修でも効果はありますか
知識を全社員に広く届ける目的には向いています。一方で自社の業務課題にあてはめる力は演習や対話を通じて身につきやすいため、eラーニングと集合研修やオンラインのライブ研修を組み合わせると実務に結びつけやすくなります。
研修後に現場でDXが進まない場合はどうすればよいですか
研修で扱ったテーマを小さな業務改善として実際に試し、結果を社内で共有する場を設けることが有効です。研修会社を選ぶ段階で、研修後の相談や事例共有、運用ルールづくりまで支援を受けられるかを確認しておくと、定着の手間を減らせます。

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