AI研修の助成金は?人材開発支援助成金の要件と申請の流れ【2026年版】

公開日:
最終更新日:

生成AIの社内研修を考えるとき、「AI研修に助成金は使えるのか」「どのコースに当てはまるのか」は早めに整理しておきたい点です。結論から言えば、厚生労働省の人材開発支援助成金を使える場合があります。

ただし2026年8月の改正で、汎用的なプロンプト研修など一部のAI研修は対象外と明示されました。対象になる研修の条件、助成額の目安、計画届を出す時期、申請前の注意点を、2026年10月時点の公式情報をもとにまとめます。

中澤 寛

Atkid 代表

中澤 寛

Atkid株式会社の代表として、ホームページ制作・SEO対策・Web広告運用などのWebマーケティングを統括。2014年の創業以来、自社事業でも集客から成約まで仮説検証を重ね、現場で再現できる施策をクライアントへ提供しています。

ライター詳細
目次

AI研修に使える助成金は人材開発支援助成金

AI研修に使える代表的な助成金は厚生労働省の人材開発支援助成金で、中でも事業展開等リスキリング支援コースは中小企業なら研修経費の75%と1人1時間あたり1,000円の賃金助成を受けられます。研修の目的や形式によっては、ほかのコースが当てはまることもあります。

コースAI研修で当てはまりやすいケース経費助成率(中小企業)
事業展開等リスキリング支援コースDX化や新規事業に伴い、業務に直結するAI活用スキルを習得させる研修75%
人材育成支援コース(人材育成訓練)職務に関連した10時間以上のOFF-JTとして行う研修正規雇用労働者等は45%(賃金要件等を満たすと60%)、非正規雇用労働者は70%(同85%)
人への投資促進コース(高度デジタル人材訓練)ITスキル標準・DX推進スキル標準のレベル3・4の資格取得を目標とする課程、Reスキル講座、マナビDXの所定講座など75%
人への投資促進コース(定額制訓練)サブスクリプション型のオンライン学習サービス60%(賃金要件等を満たすと75%)

社員向けの生成AI研修は、DX化に伴う訓練に当たるなら事業展開等リスキリング支援コースが検討対象になります。このコースと人への投資促進コースは、令和4年度から令和8年度までの期間限定の助成として案内されています。

事業展開等リスキリング支援コースでAI研修が対象になる条件

AI研修が対象になるのは、OFF-JTで一定の時間数があり、DX化などに伴って対象社員の業務に直接必要な専門的な知識・技能を習得させる内容の場合です。時間数は、通学制・同時双方向型なら実訓練時間10時間以上、eラーニング・通信制なら標準学習時間10時間以上または標準学習期間1か月以上で判定します。

対象になるAI研修と対象外になるAI研修

2026年8月3日以降に提出する計画届では、業務との結びつきがより厳しく確認されます。厚生労働省の改正案内(令和8年8月3日からの変更点)では、生成AIに関する研修の判断例が示されています。

判断研修内容の例理由
対象生成AIを活用して商品提案書の構成案作成、文章生成、修正方法を学ぶ営業担当者向けの訓練営業担当者の具体的な業務に直結し、そのまま活用できる
対象外生成AIを利用するために汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練特定の業務への具体的な適用を伴わない
対象外DXの概念、デジタル技術の概要、データ活用の考え方を学ぶ訓練共通知識の習得にとどまり、業務に直接適用される内容ではない

つまり「全社員向けの生成AI入門」のようなリテラシー研修だけでは、このコースの対象になりにくくなりました。部署ごとの業務を題材にした演習を組み込み、受講者もその業務の担当者から選ぶ設計が必要です。

対象外になりやすいそのほかの研修

改正前から、次のような内容は対象にならないと定められています。

  • 既存のアプリやシステムを購入して操作方法を覚えるだけの研修
  • 文章や数値の入力など、初歩的なデジタル操作だけを学ぶ研修
  • コンサルタントによる経営改善の指導や、自社で使う機器・端末の操作説明など、通常の事業活動として行うもの
  • 意識改革やモラール向上を目的とした研修

カリキュラムの一部にこうした内容が含まれる場合は、その時間を実訓練時間から除いたうえで10時間以上が必要です。

配置転換を伴うAI研修は人事・人材育成計画型になる

社員をDX推進部門など新しい職務に就かせるためのAI研修は、企業内の人事・人材育成に関する計画に基づく訓練として扱われることがあります。この場合、訓練開始日から3年以内に従事する予定で、現在とは異なる職務に必要な内容であることが条件です。

  • 中小企業は、認定経営革新等支援機関に計画内容を事前に確認してもらう
  • 受講する社員から、業務命令で受講することへの承諾書を取得する
  • 管理職研修やマネジメント研修など、役職として求められる知識の研修は対象外
  • 認定経営革新等支援機関やその関連する者が実施する研修は対象外

高度なAI人材の育成なら人への投資促進コースも候補

エンジニアやデータ活用の専門人材を育てる研修なら、人への投資促進コースの高度デジタル人材訓練も候補になります。研修内容がレベル3・4相当というだけでは足りず、ITスキル標準(ITSS)やDX推進スキル標準(DSS-P)のレベル3・4の所定の資格取得を目標とする課程、経済産業省のReスキル講座、マナビDXの所定講座など、決められた課程・講座に当たる必要があります。

  • 経費助成率は中小企業75%、大企業60%
  • 賃金助成は1人1時間あたり中小企業1,000円、大企業500円
  • 「マナビDX」の掲載講座は、ITSS・ITSS+・DX推進スキル標準のレベル3・4に区分される講座が対象
  • 資格取得を目標とする課程では、原則として訓練終了日の翌日から6か月以内に対象の資格・試験を受験する必要がある

AI研修で受けられる助成額の目安

中小企業が事業展開等リスキリング支援コースを使う場合、経費助成は研修費の75%で、実訓練時間100時間未満の研修なら1人あたり30万円が上限です。通学制や同時双方向型のオンライン研修を所定労働時間内に行えば、その時間に1人1時間あたり1,000円の賃金助成が加わりますが、定額制サービスやeラーニングは対象外です。

項目中小企業中小企業以外
経費助成率75%60%
賃金助成(1人1時間あたり)1,000円500円
経費助成の限度額(10時間以上100時間未満)30万円20万円
経費助成の限度額(eラーニング・通信制)15万円10万円

たとえば中小企業が1人10万円・実訓練時間12時間の対面研修をすべて所定労働時間内に実施し、全額が対象経費と認められた場合の単純計算は、経費助成7万5,000円と賃金助成1万2,000円です。実際の助成額は対象経費の認定や受講状況で変わるため、あくまで目安として扱ってください。

賃上げによる助成率の加算はない

人材育成支援コースでは、研修後に受講者の賃金を5%以上上げるなどの要件を満たすと助成率が加算されます。事業展開等リスキリング支援コースの通常分にはこの加算がなく、中小企業向けの設備投資加算が別に設けられています。

eラーニング型のAI研修は受講回数に制限がある

eラーニングによる研修は経費助成のみで、賃金助成はありません。2026年8月3日以降に提出した計画届に基づくeラーニング訓練は、同じ労働者につき1年度1回までに制限されています。

ただし経過措置があり、2026年8月2日以前に研修会社との契約や申込みを済ませた事業外訓練などは、この回数制限に算入されない場合があります。対象外訓練の判断にも同様の経過措置があるため、契約日・申込日が分かる書類を保管しておきます。

定額制のオンライン学習サービスを使う場合

サブスクリプション型の学習サービスでAIを学ばせる場合、経費助成の限度額は1人1月あたり2万円です。修了した講座の標準学習時間が支給申請時点で合計10時間以上ある社員だけが対象になります。

定額制サービスの受講回数は、このコースと人への投資促進コースの定額制サービスを合わせて1人1年度3回まで、1事業所がこのコースで1年度に受給できる助成額は1億円までです。人への投資促進コースの定額制訓練は別の制度で、同コースの1事業所1年度あたりの限度額は原則2,500万円のため、どちらのコースで申請するかと回数の数え方を事前に確認しておきます。

研修時間に含められない時間と対象外の進め方

実訓練時間には、昼食などの休憩時間や移動時間を含められません。通学制や同時双方向型の研修では、訓練の合間にとる1回30分以下の小休止を1日あたり累計60分まで含めることができますが、eラーニング・通信制・定額制サービスでは含められません。

  • 教科書などの教材を使わずに行う講習・演習は対象外
  • eラーニング等を除き、専らビデオを視聴するだけの講座は対象外
  • 研修内容について専門的な知識・技能を持つ講師が行わない研修は対象外
  • 営業中の職場など就労の場で行う研修は対象外(eラーニング・通信制・定額制サービスは除く)
  • 現場実習や営業同行トレーニングなど、通常の生産活動と区別できない研修は対象外

AI研修の計画を立てる前に社内で決めておくこと

助成金を使うAI研修の計画は、対象部門の業務課題、受講者、研修形式と時間数、研修開始日を先に決め、その開始日から計画届の期限を逆算して立てます。研修会社への依頼より前に社内でこれらを固めておくと、カリキュラムと申請書類の内容をそろえやすくなります。

  1. どの部門のどの業務にAIを使うのか、業務課題を具体的に書き出す
  2. その業務を担当している社員を受講者として選ぶ
  3. 対面や同時双方向型のオンラインで、実訓練時間10時間以上を確保できるか確認する
  4. 研修開始日を決め、計画届の提出期間を確認する(開始日が7月1日なら、提出期間は1月1日から6月1日まで)
  5. 研修後に現場でどう使い続けるか、定着のための取り組みも決めておく

AI研修の助成金を申請する流れ

AI研修の助成金は、研修開始日の6か月前から1か月前までに計画届を労働局へ出すことから始まり、研修後2か月以内の支給申請で完了します。研修会社との日程調整より先に、計画届の期限を確認しておくことが重要です。

  1. 社内で職業能力開発推進者を選任し、事業内職業能力開発計画を作成して社員に周知する
  2. 研修内容、対象社員、時間数を決め、研修会社からカリキュラムと見積もりを受け取る
  3. 研修開始日の6か月前から1か月前までに、職業訓練実施計画届などを管轄の労働局へ提出する
  4. 計画どおりに研修を実施し、支給申請までに研修費を全額支払う
  5. 研修終了日の翌日から2か月以内に支給申請書を提出し、審査結果を待つ

計画届では、職業訓練実施計画届のほか、事業展開等実施計画、対象労働者一覧、事前確認書、訓練カリキュラムなどが必要です。様式は厚生労働省の人材開発支援助成金のページから入手でき、電子申請を使う場合はGビズIDを取得しておきます。

研修の日程や内容を変えるときの変更届

計画届を出した後で研修の実施日時、日ごとの内容、実施場所、実訓練時間数を変える場合は、事前に変更届を提出します。期限は、変更前と変更後の研修実施日のうち早いほうの前日までです。

たとえば4月5日に予定していた研修を4月10日に変える場合は、4月4日までに届け出ます。研修開始日を1か月以上後ろ倒しにする場合は、変更届ではなく計画届を改めて提出します。

申請前に整えておく社内体制

人材開発支援助成金を受けるには、雇用保険適用事業所の事業主であることに加えて、社内の体制づくりが必要です。推進者の選任と計画の作成・周知は計画届を提出する日までに済ませ、書類の保存は支給後も続けます。

  • 研修や人事の担当課長などを職業能力開発推進者として選任する
  • 労働組合等の意見を聴いて事業内職業能力開発計画を作り、社員に周知する
  • 支給要件の確認に必要な書類を整備し、支給決定後も5年間保存し続ける

AI研修で助成金を使うときの注意点

AI研修で助成金を使う際に最も注意したいのは、AIツールの導入費用は研修経費の対象にならないことと、計画届を出しても支給が約束されるわけではないことです。審査は支給申請の後にまとめて行われるため、研修前の段階で要件を一つずつ確認しておく必要があります。

  • AI研修とAIツールの導入をセットにしても、ツールの導入費用は研修経費として申請できない
  • 研修中も対象社員に賃金を支払う必要があり、時間外に行えば割増賃金も必要になる
  • 通学制や同時双方向型の研修では、受講時間が実訓練時間の8割以上必要
  • 2026年5月の改正で、受講料等の価格設定に関する疎明書の提出が必要になった
  • 報酬を得て申請手続きを業として代行することは、原則として社会保険労務士の業務になる(弁護士等の法定の例外を除く)

「助成金で研修が実質無料になる」といった勧誘にも注意が必要です。返金や協力金で実質的な負担が減った場合は経費助成の対象外となり、不正受給と判断されると事業主名が公表される場合があります。

助成金を前提にしたAI研修会社の選び方

助成金の活用を考えるなら、自社の業務を題材にした演習を組めて、時間数や内容を明記したカリキュラムを出せる研修会社を選ぶことが近道です。2026年8月の改正後は、研修内容と受講者の業務との結びつきを書類で説明できるかどうかが重要になっています。

  • 部署や職種ごとに、業務に直結する演習テーマを設定できるか
  • 日ごとの実施内容と時間数を記載したカリキュラムを用意できるか
  • 対面や同時双方向型のオンラインなど、賃金助成の対象になる形式に対応しているか
  • 研修後に現場で使い続けるための定着支援があるか

研修会社の比較軸や費用感はAI研修の選び方の解説で、企業向け・個人向けを含むリスキリング支援の全体像はリスキリングの補助金・助成金の解説で整理しています。研修ではなくツール導入の費用を抑えたい場合は、AI導入に使える補助金の解説もあわせて確認してください。

研修会社との契約で確認したいこと

研修費は、支給申請までに会社が全額を支払っている必要があります。返金や協力金などで実質的な負担が減る契約になっていないかも、契約前に確認しておきます。

  • 契約日や申込日が分かる契約書・申込書を受け取り、保管しておく
  • 日ごとの実施内容、実施場所、講師、時間数が分かるカリキュラムを受け取る
  • 研修の価格が、助成金を使わない場合と同じ条件で設定されているかを確認する

AtkidのAI研修での助成金相談

AtkidのAI研修・導入支援は、営業・マーケティング・バックオフィスなど部門別の活用シーンを整理し、実際の業務課題を題材にした演習を中心にカリキュラムを設計しています。人材開発支援助成金など公的支援制度の活用可否や進め方も、個別相談の中で整理しています。

研修内容と助成金の両方を検討したい場合は、お問い合わせから対象部門や受講人数をお知らせください。

よくある質問

ChatGPTなど生成AIの使い方研修は助成金の対象になりますか
業務に直結する内容なら対象になり得ます。2026年8月3日以降に提出する計画届では、特定の業務への適用を伴わない汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ訓練は、事業展開等リスキリング支援コースの対象外と示されています。
AI研修の助成金はいつまでに申請すればよいですか
人材開発支援助成金では、訓練開始日の6か月前から1か月前までに職業訓練実施計画届を管轄の労働局へ提出します。支給申請は、訓練終了日の翌日から2か月以内です。
AIツールの導入費用も助成金で賄えますか
研修経費(通常分)としては賄えません。厚生労働省は、AI研修の費用は対象経費になる一方、AIツールの導入費用は研修費用として申請できないと明記しています。中小企業向けの設備投資加算に当たるかは別途労働局で確認が必要で、ツール導入には補助金など別の制度も検討してください。
オンラインのAI研修も対象になりますか
講師とリアルタイムでやり取りする同時双方向型のオンライン研修は、通学制と同じく経費助成と賃金助成の対象になり得ます。録画教材で学ぶeラーニングは経費助成のみで、受講回数にも制限があります。
助成金の申請を研修会社に代行してもらえますか
報酬を得て助成金の申請手続きを業として代行することは、原則として社会保険労務士の業務です(弁護士等の法定の例外を除く)。研修会社には、カリキュラムなど申請に必要な資料を用意してもらえるかを確認しておきましょう。

「何を相談していいかわからない」
「集客するための方法を教えて欲しい」

そんな無料相談を受け付けておりますので
お気軽にご相談くださいませ!