AI導入補助金はどれを使う?2026年度の制度と選び方・申請の注意点
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業務にAIを取り入れたいものの、ツールの利用料やシステム開発の費用がネックになっている中小企業は多いはずです。AI導入に使える補助金は複数あり、2026年度は名称の変更や制度の統合も行われています。
IT導入補助金は「デジタル化・AI導入補助金」に名称が変わり、ものづくり補助金の新規受付は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」へ引き継がれました。2026年10月時点の公式情報をもとに、制度ごとの補助率・上限額と、目的に合った選び方を整理します。

Atkid 代表
中澤 寛
Atkid株式会社の代表として、ホームページ制作・SEO対策・Web広告運用などのWebマーケティングを統括。2014年の創業以来、自社事業でも集客から成約まで仮説検証を重ね、現場で再現できる施策をクライアントへ提供しています。
ライター詳細目次
AI導入に使える主な補助金は4種類
AI導入に使える主な補助金は、デジタル化・AI導入補助金、中小企業省力化投資補助金、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金、自治体独自の制度の4種類です。どれが合うかは、導入するのがソフトウェアか設備か、既存業務の効率化か新事業かで決まります。
| 制度 | 向いているAI導入 | 補助上限額 | 補助率 |
|---|---|---|---|
| デジタル化・AI導入補助金(通常枠) | 登録済みのソフトウェア・クラウドサービスの導入 | 450万円 | 1/2以内(条件により2/3以内) |
| 中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型) | カタログに登録された省力化製品の導入 | 1,000万円(賃上げ要件達成で1,500万円) | 1/2以下 |
| 中小企業省力化投資補助金(一般型) | 現場に合わせた設備導入・システム構築 | 8,000万円(大幅賃上げ特例で1億円) | 中小企業1/2(特例で2/3)、小規模事業者等2/3 |
| 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 | 新製品・新サービスの開発や新事業への進出に伴う設備・システム投資 | 枠・従業員規模により750万円〜7,000万円(賃上げ特例で最大9,000万円) | 1/2または2/3(枠・事業者により異なる) |
| 自治体の補助金 | 地域の中小企業のデジタル化・DX | 制度ごとに異なる | 制度ごとに異なる |
上限額はいずれも従業員規模や特例の適用によって変わります。申請する公募回の公募要領で、自社に当てはまる金額を確認してください。
ソフトウェアやクラウドのAIツールならデジタル化・AI導入補助金
AIを含むソフトウェアやクラウドサービスの導入なら、補助額5万円から450万円、補助率1/2以内のデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)が第一候補です。中小企業・小規模事業者の労働生産性向上を目的に、業務効率化やDXに向けたITツールの導入を支援する制度です。
| 申請枠 | 補助額 | 補助率 |
|---|---|---|
| 通常枠(1プロセス以上) | 5万円以上150万円未満 | 1/2以内 |
| 通常枠(4プロセス以上) | 150万円以上450万円以下 | 1/2以内 |
| セキュリティ対策推進枠 | 5万円以上150万円以下 | 中小企業1/2以内、小規模事業者2/3以内 |
通常枠は、地域別最低賃金の近傍で雇用している従業員が一定割合以上いる場合に補助率が2/3以内になります。このほか、インボイス枠や複数者連携デジタル化・AI導入枠も用意されています。
セキュリティ対策推進枠は、IPAが公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されたサービスの利用料(最大2年分)が対象です。AIの導入にあわせて情報セキュリティ対策を強化したい場合に検討できます。
補助対象になるITツールの条件
複数者連携デジタル化・AI導入枠を除き、補助対象になるのは事前に事務局の審査を受けて登録されたITツールだけです。申請も、同枠を除いて事務局に登録されたIT導入支援事業者と共同で行います(制度概要)。
- 通常枠では、顧客対応・販売支援や会計・財務など、1種類以上の業務プロセスを持つソフトウェアが必須
- 通常枠では、汎用・自動化・分析ツールは単体では申請できず、業務プロセスを持つソフトウェアと組み合わせる
- ソフトウェア購入費のほか、クラウド利用料は最大2年分が対象
- 登録ITツールに付随する導入コンサルティング、導入設定、導入研修、保守サポートなどの役務も対象経費になり得る
汎用的な生成AIサービスを単体で契約するだけでは、通常枠の要件を満たしにくい点に注意が必要です。導入したいツールが登録されているかは、デジタル化・AI導入補助金の公式サイトのITツール検索やIT導入支援事業者に確認します。
2026年10月時点のスケジュールと申請準備
2026年10月時点では、通常枠の6次締切分が2026年10月30日17時締切、交付決定は12月10日予定と公表されています。第7回公募以降の公募要領は2026年10月9日に公開され、1人当たり給与支給総額の向上に関する申請要件の追加などの制度変更が案内されています。
交付申請にはGビズIDプライムとSECURITY ACTIONの宣言が必要です。GビズIDプライムは、マイナンバーカードを使うオンライン申請なら最短即日、書類申請では最大1か月かかると案内されているため、検討段階で取得しておくと締切に慌てずに済みます(GビズIDの公式案内)。
申請から導入までの流れ
デジタル化・AI導入補助金の通常枠などは、IT導入支援事業者と共同で交付申請を作る点がほかの補助金と大きく異なります。
- 公式サイトや公募要領で制度を理解する
- GビズIDプライムを取得し、IPAのSECURITY ACTIONで「★一つ星」または「★★二つ星」を宣言する
- 自社の課題に合うIT導入支援事業者とITツールを選ぶ
- IT導入支援事業者から申請マイページに招待を受け、事業計画を共同で作成して交付申請する
- 交付決定を受けてから、ITツールの契約・発注、納品・導入、支払いを行う
- 請求書や支払いの証憑をそろえて事業実績報告を提出する
人手不足の解消が目的なら中小企業省力化投資補助金
AIを搭載した機器や業務システムで人手不足を補いたい場合は、カタログ注文型で最大1,500万円、一般型で最大1億円を補助する中小企業省力化投資補助金が選択肢になります。人手不足に悩む中小企業等の省力化投資を支援し、生産性向上と賃上げにつなげることが目的の制度です。
| 従業員数 | カタログ注文型の上限額 | 一般型の上限額 |
|---|---|---|
| 5人以下 | 500万円(750万円) | 750万円(1,000万円) |
| 6〜20人 | 750万円(1,000万円) | 1,500万円(2,000万円) |
| 21〜50人 | 1,000万円(1,500万円) | 3,000万円(4,000万円) |
| 51〜100人 | 1,000万円(1,500万円) | 5,000万円(6,500万円) |
| 101人以上 | 1,000万円(1,500万円) | 8,000万円(1億円) |
括弧内は賃上げに関する要件や特例を満たした場合の上限額で、カタログ注文型の金額は2026年3月19日以降の制度改定後のものです。カタログ注文型は随時受付で、一般型は公募回制となっており、第8回の応募申請は2026年10月16日17時までです(中小企業省力化投資補助金の公式サイト)。
カタログ注文型と一般型の違い
カタログ注文型は、省力化効果のある汎用製品をカタログから選んで導入する類型で、簡易で即効性のある投資に向いています。一般型は、個別の現場や事業内容に合わせた設備導入やシステム構築など、オーダーメイド性のある省力化投資を支援します。
AIを使った検品システムや業務の自動化を自社向けに構築したい場合は一般型、カタログに登録済みの製品で足りる場合はカタログ注文型と考えると整理しやすくなります。
新しい製品・サービスの開発には新事業進出・ものづくり商業サービス補助金
AIを使った新製品・新サービスの開発や新事業への進出には、補助上限が最大9,000万円の新事業進出・ものづくり商業サービス補助金が使えます。旧ものづくり補助金の新規受付は終了しており、公式サイトでは新規の受付先としてこの補助金が案内されています。
| 枠 | 対象となる取組 | 補助上限額 |
|---|---|---|
| 革新的新製品・サービス枠 | 革新的な新製品・新サービスの開発 | 750万円〜2,500万円(賃上げ特例で最大3,500万円) |
| 新事業進出枠 | 既存事業と異なる新市場・高付加価値事業への進出 | 2,500万円〜7,000万円(賃上げ特例で最大9,000万円) |
| グローバル枠 | 海外市場開拓に向けた国内の輸出体制強化 | 2,500万円〜7,000万円(賃上げ特例で最大9,000万円) |
公式サイトによると、第1回公募の応募締切は2026年10月30日18時です。補助事業終了後3〜5年の事業計画で付加価値額や給与支給総額の伸びなどの基本要件を満たす必要があり、未達の場合は返還を求められることがあります。
革新的新製品・サービス枠では、既存の製品・サービスの生産プロセスの改善や、単に機械装置・システムを導入するだけの事業は対象外です。社内業務の効率化だけが目的なら、ほかの補助金のほうが合う場合があります。
基本要件と補助対象経費
この補助金では、補助事業終了後3〜5年の事業計画で次の基本要件をすべて満たす必要があります。
- 付加価値額の年平均成長率を4.0%以上増加させる
- 1人あたり給与支給総額の年平均成長率を3.5%以上増加させる
- 事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上高い水準にする
補助対象経費には、機械装置・システム構築費、クラウドサービス利用費、専門家経費、外注費などがあります。革新的新製品・サービス枠では機械装置・システム構築費が必須で、補助下限額は100万円です。
自治体のAI・DX補助金は支援情報の検索サイトで探す
都道府県や市区町村のAI・DX関連の補助金は、中小企業基盤整備機構のJ-Net21「支援情報ヘッドライン」やミラサポplusで地域とキーワードを指定して探すのが効率的です。国の補助金とは別に、地域の事業者を対象にした制度が見つかることがあります。
- J-Net21 支援情報ヘッドラインで、地域と「AI」「DX」「デジタル」などのキーワードを組み合わせて検索する
- ミラサポplusで、国の主要な補助金の概要とスケジュールを確認する
- 本社所在地の都道府県・市区町村の産業振興部署や商工会議所・商工会のサイトで、年度ごとの公募を確認する
自治体の制度は、国の補助金との併用の可否や、対象経費の重複に関する決まりが制度ごとに異なります。申請前に、それぞれの募集要項で確認してください。
目的別に見るAI導入補助金の選び方
補助金選びは「何にお金を使うか」から逆算するのが基本で、ソフトウェアならデジタル化・AI導入補助金、省力化設備なら省力化投資補助金、新事業なら新事業進出・ものづくり商業サービス補助金を優先して確認します。社員のスキル習得を目的とする研修は人材開発支援助成金を確認し、登録ITツールに付随する導入研修はデジタル化・AI導入補助金の対象になる場合があるため、費用の種類ごとに制度を分けて考えます。
| やりたいこと | まず確認する制度 |
|---|---|
| AI機能を持つ業務ソフトやクラウドサービスを導入したい | デジタル化・AI導入補助金 |
| 人手不足の工程を自動化する機器やシステムを入れたい | 中小企業省力化投資補助金 |
| AIを使った新しい製品・サービスを開発したい | 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 |
| 社員にAIの活用スキルを身につけさせたい | 人材開発支援助成金(厚生労働省) |
社員研修に使える助成金はAI研修に使える助成金の解説で、個人向けを含むリスキリング支援の全体像はリスキリングの補助金・助成金の解説で整理しています。
研修とツール導入を同時に進める場合の費用の分け方
AIツールの導入と社員研修を同時に進めるときは、費用を「ツール」と「研修」に分けて制度を当てはめます。AI研修は、各コースの訓練内容・時間・対象者などの要件を満たす場合に人材開発支援助成金の対象になりますが、既存ツールの操作方法を覚えるだけの訓練などは対象外で、AIツールの導入費用を研修費用として申請することもできないと厚生労働省は明記しています。
- 事業展開等リスキリング支援コースでは、訓練・賃金・導入設備などの要件を満たす場合に、システム導入なども設備投資加算の対象になる可能性があるため、労働局に確認する
- ツールの購入費や利用料は、デジタル化・AI導入補助金などの補助金で検討する
- 登録ITツールに付随する導入研修は、デジタル化・AI導入補助金の役務として扱われる場合がある
- 同じ研修や経費について複数の制度を使う場合は、併給できないことがあるため各窓口に確認する
AI導入で補助金を申請する前の注意点
AI導入で補助金を使うときに特に注意したいのは、交付決定の前にツールを契約・発注すると補助対象から外れることです。デジタル化・AI導入補助金では、交付決定前に契約、発注、納品、支払いを行うと補助金を受けられないと定められています。
- どの業務のどの作業をAIで置き換えるのかを決めてから、ツールや設備を選ぶ
- 補助対象経費になるのは、各制度の公募要領で認められた経費だけ
- 賃上げなどの要件がある制度では、未達の場合の返還条件も確認する
- 補助金を理由に契約を急がせる提案は、公募要領の要件やスケジュールと照らして確認する
補助金は導入費用の一部を支援する制度であり、導入後に現場で使われなければ効果は出ません。申請準備と並行して、社内の利用ルールや教育の計画も立てておくと導入がスムーズです。
交付決定後の支払い方法と実績報告
デジタル化・AI導入補助金では、IT導入支援事業者への支払いは原則として銀行振込かクレジットカードの1回払いに限られ、それぞれ次の条件があります(通常枠の公募要領)。
- 銀行振込は、補助事業者自身の口座からIT導入支援事業者の口座へ振り込む(現金払いは不可)。口座振替も可能だが、補助事業者からIT導入支援事業者への支払いが分かる通帳等の書類が必要
- クレジットカードは分割やリボルビングではない1回払いとし、法人は法人名義の口座から決済されるカード、個人事業主は代表者本人名義のカードを使う
通常枠の6次締切分では、事業実施期間と事業実績報告の期限がいずれも2027年5月31日17時(予定)とされています。請求書や支払いが完了したことが分かる証憑は、実績報告で提出するため保管しておきます。
Atkidの支援を検討する場合
AtkidのAI導入支援では、課題と目的のヒアリング、部門別の活用シーンの洗い出し、利用ガイドラインなどの運用ルール整備、社内定着までを伴走します。補助金の対象になるかどうかは各制度の公募要領で判断されるため、どの業務にAIを使うかの整理から始めたい場合のご相談先としてご検討ください。
社員の基礎理解が必要な場合はAI研修・導入支援と組み合わせることもできます。導入の進め方を相談したい場合は、お問い合わせからご連絡ください。
よくある質問
- IT導入補助金は2026年度もありますか
- 2026年度は「デジタル化・AI導入補助金」という名称で実施されています。公式サイトでも旧IT導入補助金と案内されており、通常枠やセキュリティ対策推進枠などの申請枠があります。
- ChatGPTなどの生成AIサービスの利用料は補助対象になりますか
- デジタル化・AI導入補助金で対象になるのは、複数者連携デジタル化・AI導入枠を除き、事務局に登録されたITツールです。通常枠では、汎用プロセスに分類されるツール単体では申請できず、業務プロセスを持つソフトウェアと組み合わせる必要があるため、IT導入支援事業者に登録状況を確認してください。
- 補助金の交付決定前にAIツールを契約してもよいですか
- デジタル化・AI導入補助金では、交付決定前に契約、発注、納品、支払いを行うと補助金を受けられません。ほかの補助金でも事前着手の扱いは公募要領で必ず確認してください。
- AI研修の費用に補助金は使えますか
- 社員研修の費用は、厚生労働省の人材開発支援助成金の対象になる場合があります。研修とツール導入では対象になる制度が異なるため、費用を分けて検討してください。
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